LoRaを使った温湿度管理実験@福井大学付属病院

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LoRaとは?

「LoRa」は、LPWA(Low Power, Wide Area)の一種で省電力で広いエリアをカバーする無線技術です。特定小電力無線のため免許が不要です。LoRaでは920Mhz帯の無線を利用し、実際にIoTのためにやり取りするデータの通信速度は、8km先まで送れるモードで980bps、通信距離を短くしたモードで11,000bps程度とされており、このあたりがLoRa方式での実用的な通信速度と言われています。LoRaでは屋内用と屋外用のゲートウェイが、各種のエンドノードと通信を行い、ノードの情報をクラウドサーバーに集約し利用します。今回はLoRAWANではなく、独自のLoRaでの実験です。

実験方法

- 屋内ゲートウェイを新病棟に設置し、バッテリー駆動できるエンドノード(センサー)2台を移動しながら通信状況及び電波強度を計測する

- LoRa通信モードは長距離に適したSF10(980bps)で行う

- ゲートウェイにはMVNOのデータ通信SIMを搭載しており、AWSに構築されたクラウドサーバーで1分に1回データ収集する際の受信感度及びデータ転送の可否を確認する

測定状況

ナースセンター内にLoRa屋内ゲートウェイ(上流は携帯無線通信)装置を仮設しました。

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センサーデバイスをモバイルバッテリーで動作させ、各測定箇所に移動しLoRaの通信を観測しました。

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試験結果

実験前の想定ではLoRa通信では一基の屋内ゲートウェイで全棟をカバーできる期待を持っていましたが、実際には不通エリアが存在しました。不通エリアはゲートウェイを設置したフロアを除く北病棟東側窓から25M程度の区域となり、全階ほぼ共通でした。

 新病棟の該当区域の窓には写真のようなアルミ製の遮蔽物が設置されており、これが電波の再侵入を妨害するため不通エリアが生じたと考えられるます。試しにゲートウェイをナースセンターから移動させてみても、まったく改善は見られませんでした。一方でゲートウェイを設置したフロアだけは全エリア問題なく通信が可能であり、各フロアに一台ゲートウェイを設置すれば全棟カバーできることは確認できました。移動体の位置検出に使う用途でなければ、不通エリアを避けてエンドノードセンサーを設置することで1台のゲートウェイでの運用も十分可能であり、LoRa通信の優位性が十分確認できました。

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