Acty-G1/G2 GPS測位誤差について

GPS測位誤差とその要因

GPS測位誤差は常に数メートル在ります。誤差の要因は複数あり、それらが合わさり生じる誤差は、極端に悪い場合は100m以上にも及びます。これらの定常的に生じる誤差以外に、長時間の計測を行っていると、同期外れが原因と思われる突発的な数100mに及ぶ誤差が計測されることがあります。(末項の文献参照)

 

  1. 衛星の配置・補足数不足  
  2. GPS側衛星の時計誤差
  3. 衛星軌道情報の誤差
  4. 大気遅延(電離層・対流圏)
  5. 建物や山の反射(マルチパス)
  6. 受信機側の時計誤差
  7. 干渉・妨害電波
  8. システム障害
  9. 米国政府による意図的精度低下(200年5月以降解除済み)

ここでは、Acty-G1/G2を使い、定点観測により、GPS測位誤差の発生と程度の確認を行ました。

測定位置 BENEX S-3ビル(屋上)

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測位誤差のブレ

約30時間、端末を動かさずに、20秒毎にGPSのみでの測位を行い、誤差のブレを観測しました。晴天で屋上のため、一度もGPS取得に失敗することなく、誤差は最大で30M以内に治っています。

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座標の描画には以下のサイトを利用しました。

緯度経度による経路描画(ポリライン)

Acty-G1/G2の測定

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BENEX-S3ビル屋上 KDDI社  GPSアンテナ

コヴィア本社のあるビルの屋上にも、携帯電話会社のアンテナ類が設置されています。

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携帯事業会社の基地局アンテナやテレビアンテ

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A-GPSとの関連 

GPS測位では、衛星から距離を測るための「時刻信号」と、衛星の位置を知るための「全衛星軌道データ(アルマナックデータ)」「衛星軌道データ(エフェメリスデータ)」を捕捉して利用し、この2つの軌道データは、衛星からは30秒周期、50bpsという伝送レートで送られています。このように「GPSだけでの現在地測位」には、少なくとも30秒を要するため、1分に複数回も測位をする場合は、A-GPSに頼ることになります。A-GPSは、アルマナックデータ、エフェメリスデータの衛星軌道データを携帯電話のデータ通信で取得します。このA-GPSで取得した衛星情報に不整合が生じることがあり、衛星の取得数が減少し、測位に影響を及ぼす場合があります。長時間連続して計測を行う場合は、定期的にA-GPSデータをクリアし、再取得することで改善が見られます。

 

FusedLocation Providerの利用

こうしてGPS単体での測位は、様々な要因で誤差を生じますので、Androidでは、それをカバーするためにWifi、電話基地局などによって位置情報を得ることができるFusedLocation Providerのご利用をお勧めします。。

 

参考文献

携帯電話内蔵GPSの位置精度(論文)

https://www.seikei.ac.jp/university/rikou/pdf/JFST460201.pdf